東京高等裁判所 昭和40年(ラ)222号 決定
本件更正決定は、千葉地方裁判所昭和四十年(ヨ)第五八号トタン塀取り除き仮処分命令申請事件につき昭和四十年四月十三日なした仮処分決定につき、その添付図面の記載を右更正決定添付の図面記載のとおり更正するというものであるところ、所論は、更正決定は裁判所が表現しようと欲したところ(意思)と表現されたところ(表示)との間に不一致がある場合になされるものであるのに、本件仮処分決定添付の図面は仮処分命令申請書添付の図面と全く同一であつて、他に仮処分の目的物たるトタン塀を図示する資料は存在せず、従つて裁判所が仮処分決定において表現しようと欲したところのものは右申請書添付の図面すなわち仮処分決定添付の図面に記載されたもの自体であるつて、その意思と表示との間にはいささかの不一致もない、また仮処分の目的物たるトタン塀について仮処分決定添付図面の記載と本件更正決定添付図面の記載とは全く別異のものであり、殊に更正決定添付図面の門柱(一)より1までの部分及び8より13までの部分は仮処分決定添付の図面には全く存しないから、本件更正決定は請求の同一性を害するもので違法であると主張する。
しかし、更正決定は裁判の誤謬が裁判所の過誤に基く場合のみでなく、当事者の過誤に基く場合にもなし得るものと解すべきであつて、これに反する所論の見解は採用できない。そして本件仮処分の目的物たるトタン塀は、仮処分申請書並びに仮処分決定各添付の図面には通路上に一直線をもつて記載されているのに対し、更正決定申立書並びに更正決定各添付の図面では三箇所(門柱(一)、8、11の各点)において屈折しその一部は通路上にはなく、その位置形状が若干相違するけれども、更正決定申立書添付の疎甲第十八号証の写真と仮処分決定申立書添付の疎甲第五ないし第十四号証の写真とを対比すれば、右トタン塀は概ね右更正決定添付図面の位置にその記載のように屈折して建てられていることが窺われ(疎甲第五ないし第十四号証のみではその点が明確でない)、そして仮処分申請書記載の申請の趣旨並びに本件仮処分決定の主文には仮処分の目的物たるトタン塀について(柱十三本をぬき板でつなぎ外側にトタン板を打ちつけたもので高さ約二・六米)と表示されており、更正決定添付図面の1、門柱(一)、2ないし13の各点を順次結ぶトタン塀の表示は正にこれに該当する(門柱(一)が支柱として含まれる点の相違を除けば全く一致している)ので、仮処分の目的物たるトタン塀は何ら更正決定表示のトタン塀の一部を除外したものではなく、更正決定添付図面の記載は仮処分決定添付図面の記載を正確にしたものにすぎず、従つて、両図面によつて表示されるトタン塀は前記の仮処分決定の主文の記載をも参酌すれば何ら同一性を損うことはないものということができるから、原更正決定には何ら違法の点はなく、所論は採用できない。
(牛山 福島 今村)